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FGO サリエリの剽窃疑惑を検証 ~ロホリッツとサリエリの会話~

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この検証は著作権32条に基づき以下の文献を引用してます。

 『サリエーリ  モーツァルトに消された宮廷楽長』(著者 水谷 彰良  発行 音楽之友社 2004年 第一刷)  以下、「サリエーリ」と表記。

 『Fate/Grand Order material Ⅶ』(TYPE-MOON BOOKS 2020年発行)

 

Fate/Grand Order material Ⅶ 史上の実像・人物像

  • material Ⅶ p.107より引用

モーツァルトの逸話集を刊行したフリードリヒ・ロホリッツは、モーツァルトについてサリエリと語り合った事があり、サリエリの死後、会話を書き起こしている。」

「レクイエムは?」

「ああ。あれは言葉では言い表せません。とてもふしだらな人生を送った後に、死を前にしたモーツァルトが永遠の魂を、聖なる霊を吹き込まれて作り出したものなのです。」

 

  • 「サリエーリ」p.177 より引用

・・・モーツァルトの作品で彼が好んだのは四重奏曲、オペラは《フィガロの結婚》でした。[中略]「レクエイムは?」と尋ねると、彼は「ああ」と厳かに言いました――「あれは言葉では言い表せません。とてもふしだらな人生を送った後に、死を前にしたモーツァルトが永遠の魂を、聖なる霊を吹き込まれて作り出したものなのです」

(『総合音楽新聞』一八二八年一月二日付[35])

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掲載された該当する総合音楽新聞(Allgemeine musikalische Zeitung)の号は恐らくこれかもしれません。https://digipress.digitale-sammlungen.de/issue/bsb10527978_00013_u001 

ご覧のとおり、「サリエーリ」の地の文を除いた会話文が、FGOマテリアルの文章と一致しています。 

ロホリッツのこの原文には著作権はありません。しかし、これを日本語に翻訳した文章には、その時に新しく著作権が保護されます。

FGO側が、原文から日本語へ翻訳した場合には何も問題はありませんが、ここまで文章が一致し、かつFate/Grand Order material Ⅶが「サリエーリ」(2004年発行)より後に刊行された以上は、「FGO側が『サリエーリ』より翻訳文をコピーした」と考えるのが自然でしょう。(引用とするには改変があったり参考文献の明示がないなど、引用条件を満たせていません。)

 

ではこの「ロホリッツとサリエリの会話」の翻訳は、誰が行ったのでしょうか?

もしも翻訳が数十年以上前に誰かが行い、既に著作権が切れているのなら、誰が使っても問題はありません。・・・ちょうど注記がつけられていますね。確認してみましょう。

35  Dokumente seines Lebens(Ⅲ).,p/335-336.

誰の本かを確認するために索引を見ましょう。

ニーメチェク、フランツ・クサヴァー Niemetscek, Franz Xaver (1766~1849)

モーツァルトの生涯 Leben des k.k. Kapellmeisters Wolfgang Gottlieb Mozart』(1798) 98,134,176,177,259   「サリエーリ」(索引12)

177ページは上で比較した文章が掲載されたページです。そのページの文章は、「ニーメチェク」が記した1798年の本を元に書かれたようです。見れば分かる通り、これは日本語ではないですね。

念の為、どこかに和訳した文献がないものかと参考文献を見てみますが・・・ロホリッツや総合音楽新聞に関するものはどこにもありません。日本で発行されたモーツァルト書簡全集やベートーヴェン書簡全集ぐらいです。(あるいはその文献の中に「ロホリッツの文章を翻訳したもの」があるかもしれませんが、仮にそれがあったとしても、一番古い日本語の参考文献が属啓成氏の『ベートーヴェン(生涯編)』(1963)であるから、その日本語訳文章の著作権は切れてないと考えられます。) 

 

ですので、上記のロホリッツの文章は、水谷彰良先生が「サリエーリ」を執筆する際に、ニーメチェクの書籍からご自身で翻訳されたもの・・・そう見て間違いないでしょう。 

言い換えれば、この文章は水谷彰良先生が翻訳したもので、(発行された年からもわかるとおり)著作権がまだ切れていない文章である可能性が高い、という事です。

世間では翻訳者が著作権を放棄する事もありますが、こと水谷先生の本を見る限りではそのような表記は(あとがき含めて)どこにもありませんでした。

 

結論

このロホリッツとサリエリの会話部分の文章は明らかに一致しており、また、水谷彰良先生が翻訳したであろうと仮定すれば、この文章の著作権はまだ切れていません。

よって、(水谷彰良先生以外の誰かがロホリッツの文章を既に日本語に翻訳しており、その文章の著作権が存在せず、そして水谷先生の「サリエーリ」もFGOも、その翻訳文を使用した事が明らかである場合を除いて)

今回の件は、FGO側がいうところの「流用」であり、剽窃だろう、と思われます。

 

 他の部分に関しては、「サリエーリ」を参考にしたのでしょうが短く要約しています。検証が完全に済んだ訳ではないですが、現状は問題はないと思います。